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2008.03.31(月) 読売新聞
島原鉄道「南線」きょうで廃止~災害復旧も客足戻らず

 島原鉄道(本社・島原市)の島原外港以南の35・3キロが31日を最後に廃止される。水害や噴火災害など数々の苦難を乗り越え、島原半島の観光や産業、生活を支えてきたが、少子化などによる利用客減で収支が悪化。会社設立100年となる5月を前に、口之津鉄道時代から続いた「南線」の歴史に終止符が打たれる。廃線までの経緯を振り返り、地方の公共交通のあり方について考えた。(篠原太)

 1957年7月の諫早大水害など、様々な災害を乗り越えてきた同社だが、普賢岳の噴火災害は最大の試練となった。

 91年6月の土石流を始め計13回被災。93年4月の土石流では、線路約1・2キロが埋没、島原外港―深江間6・4キロが不通になった。国などの補助を受け約30億円をかけて同区間の高架化などを行い、97年4月、4年ぶりに全線を開通させた。復旧は災害復興の象徴にもなり、島原駅の前田森義駅長(57)は「赤飯を炊いて喜ぶ住民もいたほどだった」と振り返る。

 しかし、噴火災害は、その後の経営に大きな影を落とした。

 85年度決算で18年ぶりに黒字となった鉄道部門は、噴火後、大幅に利用客が減少、91年度決算で再び赤字に転落。97年の全面復旧後も客足は戻らなかった。

 公的支援も検討された。南島原市の試算では赤字は11年度に2億3300万円に拡大すると判明。同市は、このうち4900万円を負担し、残りの1億8400万円を他の沿線自治体などで拠出する案を、県や沿線自治体でつくる対策会議の幹事会で提案したが、「市民からの理解が得られない」と他の自治体から難色を示された。

 南島原市の川崎洋二地域振興課長は「単年度だけの支援ならまだしも、厳しい財政事情の中、単独で毎年負担を続けることは不可能だった」と説明する。

 少子高齢化、人口減少が進む地方では、鉄道だけでなく、バス、フェリーなど公共交通はどこも慢性的な赤字が続いている。

 同社の塩塚吉朗社長は「地方交通事業の存続は一企業だけでは厳しい。自治体には公共の福祉の一環として協力してもらいたい」と訴える。

 「島原半島を未来につなぐ会」をつくり、約1か月で約3万6000人分の署名を集めて存続を訴えた泉川欣一代表世話人(68)は「行政が住民、事業者と一緒になって地域の交通について考えなければならないのに、『赤字だから廃止する』という結論はあまりにも無責任」と批判する。

 地域の足をどう守り、支えていくのか。島原市は25日、県や交通事業者らとともに、地域の公共交通の利便性向上などを目指す協議会を設置、議論をスタートさせた。

 「災害などで手のかかる路線だったがその分、愛着もある。噴火災害も乗り越えてきただけに廃止はさみしい」。噴火災害時、島原鉄道で復興に当たってきた井本正さん(80)(島原市湊新地町)はしみじみと語った。

(2008年3月31日 読売新聞)





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