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2008.10.21(火) 西日本新聞

世界ジオパーク国内候補に「島原半島」など3カ所 日本委員会が選定

 「災いの象徴」から「浮揚の原動力に」‐。国連教育科学文化機関(ユネスコ)が認定する地質公園「ジオパーク」の国内候補地に島原半島が正式決定した20日、行政や観光関係者からは大きな期待の声が上がった。ただ、住民の間には「ジオパークって何? (認定で)どう変わるの」という声も少なくない。本登録に向け、住民への浸透も課題となっている。

 「ジオパークの国内候補決定で負のイメージがプラスに転じ、観光再生につながるだろう」

 43人が犠牲となった1991年の大火砕流当時、島原市長を務めた鐘ケ江管一さん(77)は静かに語った。

 ジオパーク加盟に伴う地域浮揚、とりわけ観光振興に関係者の期待が集まる。「え? 本当? よかった、よかった」。島原温泉旅館組合長で、島原市内でホテルを経営する足立進一さん(58)は吉報に、驚きと感激を隠せなかった。

 島原半島を訪れた宿泊客のピークは、普賢岳が噴火した90年の約360万人。その後、被害が深刻化する中で観光が低迷し、昨年は半分の約180万人にとどまっている。

 同組合は一昨年から水無川導流堤南側にヒカンザクラを植樹するなど、観光復興に取り組んできた。足立さんは「本登録へ向けた取り組みの過程で、新しい観光の形が生まれるかもしれない。ともに国内候補になった北海道や新潟との連携もおもしろいのではないか」と期待を膨らませた。

 朗報を心待ちしていたのは行政も同じだ。吉岡庭二郎市長と雲仙、南島原両市の副市長が待機していた島原市役所。予定時刻を約30分すぎても連絡が入らず、落選の不安が広がり始めていたところに「決定」の一報が入ると一転、庁内は安堵(あんど)に包まれた。

 南島原市の松島世佳市長は「島原半島には(世界遺産の国内候補の)キリスト教関連遺産もある。同遺産とジオパークの両方が世界に認められれば、観光の魅力はさらに増すだろう」とコメント。半島全域への波及効果に期待を寄せた。

 一方、島原市役所に近い商店街「サンシャイン中央街」で、買い物客と商店主の計10人に「ジオパーク」について尋ねたところ、「知らない」という人が6人いた。

 料理店を営む南原直津子さん(57)は「噴火以降、住民も観光客もどんどん減った。仕事が少ないから、どんどん若者が出て行く」と話す。雑貨店を経営する70歳代の女性は「ジオパークのことはよく分からないが、観光だけじゃ、街はどうにもならない」とこぼす。

 こうした現状について、行政と市民有志でつくる「ジオパーク火山ガイド養成講座」講師の寺井邦久さん(52)=雲仙市=は「島原半島が世界に羽ばたくためにも、市民みんなで育てることが大事だ」と、半島挙げての魅力づくりの必要性を強調した。

=2008/10/21付 西日本新聞朝刊=




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