◇取引先は抗議と困惑
県内一の農業地帯の島原半島で、また食品偽装が明らかになった。食品加工会社「キャセイ食品」長崎工場(南島原市布津町)を舞台とした中国産野菜の国産への偽装。休みが明けた10日は事情を知らぬ契約農家やニュースを見た取引先が訪れ、抗議や困惑の声を上げた。しかし、先月から操業を休止している工場は、静まりかえったままだった--。【山崎太郎、柳瀬成一郎、阿部弘賢】
「去年から納めていた。引き取り先がなくなったら困る」。近くの契約農家、大木定則さん(76)は工場前で語った。年間の取引額は10万円ほどだが、農協では引き取らない曲がったインゲンなども納入できたためメリットがあったという。
キャセイ食品から商品を仕入れている取引先の担当者2人は「顧客からの問い合わせに備えて情報を集めに来たのだが……。工場が再開されないようなら新しい取引先を探さないと」とこぼした。
キャセイ食品本社(東京)によると、長崎工場の契約農家は約150~160戸で、9月に農水省の調査を受け、偽装の疑いが浮上した10月18日から工場の操業を停止。工場の従業員によると、契約のため野菜の引き取りを拒むことはできず、工場内には入荷した野菜が手付かずで保管されているという。
工場には約50人の従業員がいるが、有給で自宅待機している。キャセイ食品の阿部俊八社長は「わが社としては一人も漏れずに工場を再開させたいが……」と話した。
〔長崎版〕