長崎市方面から橘湾に沿って国道251号を島原半島に向かう。雲仙市に入るとすぐ、長い上り坂が始まる。県外からの客を乗せて走るとき、私はここで説明する。
「今は千々石(ちぢわ)断層を横切っている。地震が起きるたび、ここを境に地面が数センチずつ落ち、何万年もの間繰り返されて大きな高低差を形成した。最近は大きな地震が少ないが、島原半島は九州有数の地震地帯」
何気に通るだけだった坂道も、地学的知識があれば「へぇー」となる。温泉に入って「へぇー」、平成新山を見て「へぇー」、湧水を飲んで「へぇー」となれば“感動値”はいやがうえにも高まる。
私が観光客なら、島原半島を出るころには知的満足感に浸っていることだろうし、周囲にも島原行きを勧めるに違いない。それが半島の活性化にもつながる。島原半島ジオパークが目指す理想像とは、きっとそういうものなのだろう。【山崎太郎】
〔長崎版〕