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雲仙・普賢岳噴火災害(1990年11月-96年6月)からの復興を果たした長崎県島原半島が、世界遺産の地質版といわれる「世界ジオパークネットワーク(GGN)」に国内第1号として加盟を果たした。「火山と共生するまちづくり」が世界に認められた結果だが、その意義を広くアピールするには、学術的価値や観光・文化的魅力をより分かりやすく伝える工夫が欠かせない。地元の取り組みを追った。
「加盟がゴールではなく、今からがスタートだ」。8月23日、GGN加盟決定の一報に島原半島の雲仙、島原、南島原の3市でつくる島原半島ジオパーク推進連絡協議会の杉本伸一事務局長(59)は、こうくぎを刺し、喜ぶよりまず気を引き締めた。
背景には、加盟決定直前に行われたGGN事務局の現地視察で受けた厳しい指摘があった。2人の英国人専門家は「解説板やパンフレットが専門的すぎて、一般の人に分かりづらい」「宣伝活動が不足している」など次々に課題を挙げた。
解説板の説明文を考えた長崎県教育センター主任指導主事の寺井邦久さん(53)は「中学生を対象に文案を練ったが、不合格だった。地学や地質に興味がない人にも内容が理解できるようにと言われ、こちらの想定以上に幅広い年代を対象にしないといけないと分かった」と振り返る。
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GGN加盟への取り組みは、2007年に島原市であった火山都市国際会議以降、行政主導で急ピッチに進められた。このため、市民レベルでの周知不足は否めない。
今春、島原商業高校の生徒が、半島内の高校生とその保護者約900人に行った意識調査によると「ジオパークとは何か」を知っていた高校生はわずか7・3%、保護者は35・8%にとどまった。
GGNは定義の一つとして「地質を保護しながら利用し、地域の発展を目指す」を掲げる。つまり、災害からの復興の記憶や、火山と共生してきた知恵を次世代に受け継いでいく取り組みが欠かせない。その柱の一つが人材の育成だ。
半島には火山の恵みの温泉や湧水(ゆうすい)がふんだんにあり、人々は生活に取り入れ、島原そうめんといった特産品も生み出した。生活様式もジオパークの大事な要素。それを最も伝えられるのは生活者自身との発想から、連絡協は昨年から市民を対象に、ジオサイト(地質的見どころ)を案内するジオツアーガイドの養成講座を開いている。これまで20代から70代まで、約130人が受講した。
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今月1日、加盟後初めて開かれた連絡協の臨時総会では、島原城(島原市)や妙見岳(雲仙市)などに解説板を新設するほか、既存の解説内容についても小学生でも分かるように見直すことを決めた。
杉本事務局長は「GGN事務局による再審査が4年に1度あり、過去には加盟を取り消された地域もある。継続して努力しないと、次回審査に合格しない恐れがある」と危機感を持つ。
今後は、同時に加盟した洞爺湖有珠山(北海道)と糸魚川(新潟県)の両地域とも相互訪問を重ね、観光宣伝分野などで連携を図る考えだ。島原の魅力を世界に発信するための取り組みは、始まったばかりだ。
=2009/10/26付 西日本新聞朝刊=
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