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雑草をモリモリ食べるヤギ。その食欲をエコロジーに生かそうとする取り組みが各地で広がっている。
島原市の水無川下流。柵の中のヤギ、羊6頭が、背丈より高い草をはんでいた。ここで行われているのは、観光施設などの雑草や有明海の海藻アナアオサを、ヤギや羊に食べてもらおうという「ヤギ・ヒツジECOプロジェクト」。中心人物は島原農業高の山田善光教諭(32)だ。
国交省雲仙復興事務所や県とタイアップ。山田教諭が顧問の「社会動物部」で飼育するヤギ、羊を用いる。同事務所が6頭のヤギを借り、20メートル四方の柵に放って草を食べさせると、4か月間で約800平方メートルを除草したという。「予想以上に食べてくれた。ふんや尿のにおいが心配だったが、気にならなかった」と同事務所も効果の大きさに驚く。
一方、有明海のアナアオサは乾燥して大麦などと交ぜ、ヤギなどの飼料に活用することに社会動物部が成功。焼却処理より費用は少ないうえ、「二酸化炭素排出削減にもつながる」と山田教諭。同部は今後、動物の毛や肉を使った加工品開発にも取り組む。
北九州市八幡西区のミクニ建設(世良勝彦社長)は今春から、除草用にヤギを貸し出す事業を始める。
「ヤギで草刈りしたら面白いんじゃないか」。世良社長(38)は2006年、仕事仲間との雑談の中でヒントを得た。ヤギは傾斜地を好む習性があり、様々な草を旺盛に食べる。専門書を読んだりインターネットで調べたりして、ビジネスの可能性を研究した。
昨年5月、長野県の牧場からヤギ5頭を購入。福岡県中間市の野球場のネット裏にワイヤでつないでみた。すると、5頭は1週間で500平方メートルの雑草を食べ尽くした。「これはいける」。世良社長は確信した。もちろん、草刈り機に比べれば除草の速度は遅い。しかし、刈り取った草の処分の必要はなく、ふんも肥料になる。
同社は4月以降、北九州市や中間市の学校を中心に1頭を月1万5000円で貸し出す予定で、年間約200万円の売り上げを目指す。将来は100頭程度まで増やし、乳を使ったチーズや菓子の製造・販売も計画している。
北九州市も中小建設業新分野進出支援助成金(上限100万円)の交付を決定しており、事業を後押し。「環境にやさしくユニークな取り組み。注目したい」と市中小企業振興課。世良社長は「ヤギを使った除草を定着させ、北九州の名物に」と意気込む。
萬田正治・鹿児島大名誉教授(畜産学)の話「現代の畜産は食用が中心だが、雑草処理はヤギの特性を生かした活用法で、評価できる」(中村明博、篠原太)
(2010年2月3日 読売新聞)
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